芝生お悩み相談(独り言)

【グリーン編】

グリーンの状態が毎年良くない

土壌分析を定期的に行い土壌の化学性、物理性を正しくしていかなければいけません。また暖地地域でのベントグラスの場合は夏場の管理が重要なこととなります。夏場になる前に芝生をもっとも健康な状態になるようにしなければいけません。特に根圏の維持が重要です。その点でも土壌の物理性、化学性の適正化、また春からの施肥計画、散水のプラン、浸透剤の散布計画を適正にしなければなりません。

グリーンがいつも砂だらけでボールやパターが砂だらけになる

適正な肥料養分が施されないと芝生は密度を下げ薄くなります。そのために玉は砂だらけ、芝表面がぬれている状態であれば砂団子になってしまいます。一見この状態は芝の抵抗が落ちるためパッティングの転がりが良くなり、いわゆる「早いグリーン」の状態になりますが、植物としての芝生にとってはバランスを崩した飢餓状態といえます。この状態では、季節や環境が変わった場合に大きなダメージを受けることになります。十年以上も前の時代に、農業用の安価で効果の少ない肥料しかない時代には、そのような方法でグリーンの速さを出す時代もありましたが、さまざまな良い資材が手に入る時代、健全で密度のあるターフを維持した上で、必要なパッティングスピードを維持することがサービスとしても費用対効果としても正しい管理と言えましょう。日本の気候条件下では、窒素成分で年間20g/u以上の窒素施肥が必要です。ただし季節と管理条件で肥料の種類を選ぶ必要があります。

藻やコケが良く出る

藻やコケが多く出るのにはある程度単純な状況が考えられます。
1、「芝生表面の過湿」
2、「芝密度が低く地表面に日が当たる」
3、「土壌表面の養分が高い」

これを解決するために。
1、散水を少ない量で多回数にする。
2、年間を通じて十分な施肥計画を立てて芝の密度を下げないようにする。
3、土壌の物理性を改善して、芝表面に水分が残らないようにする。
4、適正な浸透剤で水の浸透を改善する。均一に水を浸透させて表面に水を残さない。
5、液肥ではなく粒状の肥料を使用して土壌表面に養分をためない。
6、散水の回数を減らせるように深い根圏を維持する。

カタビラが多くなってきている

コケ、藻の発生とも似ています。まず第一に芝の密度を下げないように注意して、カタビラの侵入を防ぐことが大事です。ベントグラスの根が十分に張っていて密度も十分であればカタビラの種が芝目に入りにくく、また発芽もしにくくなります。砂だらけになるような芝生が薄いグリーンでは容易に侵入されてしまいます。病気等で芝生が薄くなってきたところからカタビラが一気に侵入するのはよく知られたことです。また肥料養分が十分でない場合はカタビラに優位になります。カタビラは肥料の要求量が低いのに対して、ベントグラスは高い肥料の要求量を持っています。肥料の程度が低い場合、カタビラのほうが元気になります。一度激しく侵入してしまった場合は「マックワンフロアブル」などの除草剤で処理することになるでしょう。燐酸肥料の過多はカタビラの種の発芽と初期成育を助けてしまいますので注意しましょう。

散水だけで水溜りができる

明らかな物理性の不具合でしょう。適正な更新作業、浸透剤の散布、適正な散水計画が重要となります。この問題を解決しないと上記の藻やコケ、カタビラの侵入などが副次的に起こってくる可能性があります。また、疎水性土壌の形成も疑われます。散水の水の浸透が妨げられ、水分と養分が行き渡らなくなり芝生に甚大な被害を与えることとなります。適正な浸透剤の使用も必要でしょう。

いつも根が浅く生育が悪い

単純な原因の場合も複雑な原因もあります。考えられるいくつかの原因をあげると・・
1)肥料養分の欠乏または不足。特に窒素肥料の必要十分な量の継続的施肥
2)土壌の物理性の低下による、土壌中の気相の低下・・土壌には25%の気相が必要です
3)水の浸透の悪化・・散水をしていても均一に水が浸透していない可能性があります
4)養分バランスの悪化

特に水の浸透が適正になっていない状態、疎水性土壌の状態は肥料養分の根圏への十分な広がりがなくなるために根の伸長を妨げることになります。また、土壌中の気相が少なくなってきている場合は更新作業が必要でしょう。根の成長には酸素が不可欠です。


【フェアウェー、ラフ編】

しょっちゅうミミズ塚がたくさん出て見栄えが悪い

はっきり言って有機物が多すぎるのです。堆肥を過剰にまいていませんか?土壌の有機物量は5%程度で十分です。降雨の多い日本の気候でのスポーツターフとしての土壌であれば3%もあれば十分です。天然由来の有機物には土壌分析に出てこない有機態窒素などの複雑な養分が含まれ、また重金属など土壌や植物に害を与える成分が含まれている可能性があります。そのために不確定な養分放出で管理を複雑化させます。心配になりませんか?

雨が降ると異臭がする

これも土壌中の有機物が多いことが考えられます。また土壌中の気相が減っていることも考えられます。土壌分析をして有機物量を調整しましょう。また更新作業が必要といえるでしょう。不適切な堆肥を使用していませんか?

ちょっと雨が降るとしばらくぐちゃぐちゃで評判が悪い

CECが高すぎることが考えられます。CECは有機物量と粘土の量で決まります。粘土質が多いときは更新作業をし、砂などを散布してCECを下げることが重要です。また、有機物、有機肥料の使用はやめるべきでしょう。FWの適正なCECは日本のような多雨の地域では7以下もしくはより低いほうが管理は楽になります。ただしCECが低い場合は同時に散水計画と肥料の選択が重要になります。またFW用の浸透剤も検討にあたいします。散水施設がないために夏場に乾燥害が出るので、堆肥をまくという考え方をする方がいますが、それは大変危険です。堆肥をまき続けると土壌表面のCEC値が上がり土壌表面に水分や養分がたまってしまうこととなり、芝生の根がより浅くあがってしまうことになります。また有機物量が高くなると疎水性土壌を容易に形成することになります。とうぜんこの状態ではより乾燥害に弱くなってしまいます。正しい対処方法は土壌の物理性を改善して水の浸透を改善して十分な養分を与えて深い根を維持させ、表面張力をなくす浸透剤等を使用することが必要です。もちろん散水施設を用意するのが一番良いのですが。芝生の管理に近道はありません。

ターフが薄くクラブやスパイクが泥だらけになる

砂だらけのグリーンと同じです。ゴルフは芝生の上でするものなのです。刈込が面倒だとかとか、更新作業が面倒だとかの理由で、肥料を低く抑えその結果、プレーヤーに土の上でプレーさせるということになるのはサービス業としては問題があるように思われます。それだけではなく、その代償として乾燥害の発生、病虫害の発生、雑草の侵入となれば農薬などの使用も増え、より芝生にストレスがかかるのみでなく、必要のない無駄な予算を使うことにもなります。

冬は日本芝が休眠しているとはいえターフが薄くてすぐ裸地化する

暖地型の芝草の生育期は夏場になります。夏から秋にかけて十分な養分が施されていないと十分なターフを形成できずに休眠に入ります。梅雨時期から夏場〜秋にかけて刈り込み低減のために肥料養分の供給を下げるとこのようなことになります。緩効性肥料を利用して過剰な刈り込みを低減して十分な養分を与えましょう。また土壌中にすでに過剰な養分・有機物がある場合も夏場に十分もしくは過剰に伸びます。しかしながら土壌温度が下がる秋以降は分解が止まり養分が一気に不足します。そのようなことが起こりやすいのが有機肥料・土壌中の有機物といえますのでこの点も改善する必要があるでしょう。

雑草や病気が多く農薬代がかかる

すでに説明したように肥料養分の適正な計画、土壌の物理性、化学性の改善が必要です。肥料代と農薬代、どちらが高いのか考えましょう。また、多量の農薬使用は環境にも土壌にも良くありません。

乗用カートの乗り入れをしたいが自信がない

日本芝は大変に強い芝生です。きちんとした管理と養分の供給をすれば乗用カートの乗り入れは可能です。日本芝の生育期の窒素要求量は1ヶ月に2〜5g/uです。その際も土壌の物理性、化学性を改善しましょう。

日本芝が元気な夏なのに裸地がある

養分不足、乾燥害・・・さまざまな状況が考えられます。繰り返しますが土壌の物理性、化学性を整え、適正な施肥計画、散水計画があれば解決するはずです。原因を突き止めましょう。

すぐに乾燥害が出る

芝生の根の浅さが問題だと思われます。土壌の物理性、CECのチェックと適正な更新作業が必要です。堆肥を大量にまいてはいけません。根が浅くなるだけです。

年中根が浅い

繰り返しになりますが、土壌の物理性、化学性を調べ総合的に問題点を検討しなおしましょう。

春の色上がりが遅い

秋の施肥がうまく行ってないのかもしれません。晩秋の施肥は芝生の貯蔵養分を高めて冬場の低温害や乾燥害から芝生を守ります。カリの施肥も重要です。

秋の色落ちがはやい

夏以降の施肥計画を検討してください。夏場は土壌温度が高いため肥料の分解、有機物の分解が促進されて肥料成分が放出されますが、秋以降の土壌温度が下がるとその効果は期待できなくなります。きちんとした肥料をきちんと使用しましょう。

まったく悩みがないのが悩み

うらやましい限りです・・・・きっと弊社のお客様でしょうか・・・(^^♪

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近日ゴルフダイジェスト社から発売された「ターフグラスマネジメント」A・J・タージョン著の日本語版を一読されることを推奨いたします。