『マックワン・フロアブル』のすべて!

・ベントグラスグリーンをはじめ、ほとんどの既成の芝生に安全
・残効(発芽を抑える期間)が長い
・すでに発生している雑草の根を弱めて徐々に駆逐することが可能
『カタビラ』、『メヒシバ』の発芽抑制効果がきわめて高い『発芽前処理除草剤』
・ペレニアルライグラスのオーバーシードと同時施用が可能

【更新日:2026/02/18】


【目次】(項目(リンク)をクリックすると本文にジャンプできます)

01)マックワンフロアブルの開発過程
02)マックワンフロアブルの有効成分
03)マックワンフロアブルの既存の芝生への安全性
04)マックワンフロアブルの殺草作用の特性
05)マックワンフロアブルの散布方法
06)使用方法
 ①ベントグラスグリーン
  Ⅰ)カタビラ
   a)一年草カタビラ
   b)多年草カタビラ
  Ⅱ)メヒシバ
 ②ライグラスのオーバーシードでの使用
 ③グリーン以外での使用方法(アプローチ、ティー、競技場など)
07)薬害について
08)他の薬剤との混用・併用について
09)マックワン使用時の播種について
10)更新作業と散布時期について
11)マックワンフロアブルの隠れた特性
12)農薬登録上の表記(最新)
13)類似品での薬害報告
14)マックワンFAQ


1)マックワンフロアブルの開発過程

丸紅株式会社が独自に開発し、世界においても現在日本でしか使用されていません。
水稲用除草剤として開発され、2001年に芝生用として適用拡大されました。
2002年から芝生専用の『マックワンフロアブル』として発売開始されています。すでに20年以上の高い評価をいただいております。
現在米国での登録申請を行っており、2026年に登録取得予定です。

2)マックワンフロアブルの有効成分

化学名:1-(2-クロロベンジル)-3-(A,A-ジメチルベンジル)ウレア
慣用名:クミルロン(CUMYLRON)
有効成分量:45%
剤形:フロアブル

3)マックワンフロアブルの既存の芝生への安全性

ベントグラスグリーンを含むあらゆる既存の芝生へ安全性が確認されております。
発売開始(2002年)以降、本商品で芝生を枯らしてしまった報告は一度もありません。
マックワンの有効成分である『クミルロン』は大変水溶性が低く、水に対して0.8ppmしか溶けることができません。この水溶性が低い物理性がマックワンの最大の特徴です。
そのために、どんなに多くマックワンを散布しても土壌中では0.8ppm以上の濃度にはならないため、この0.8ppmの濃度ではカタビラやメヒシバなどの幼根の成長は止められるが、ベントグラスの成立している根には影響は与えないのです。
ただしベントグラスが健全な状態ではない時は成長が緩慢になることがありますので、事前に『7)薬害について』をご参照ください。

【クリーピングベントグラス薬害試験】

薬害試験 薬量(ml/㎡)    
1 2 4 8 16 
 評価 無  無  無  無  無 

(1999年8月下旬処理、茨城県ゴルフ場本グリーン用ナセリ)
基準使用量の1~2mlの最大8倍薬量でも薬害は見られなかった。
各区の芝生の根も確認したが、どの区においても根上がりや形成異常は見られなかった。

実際のパッティンググリーンで散布量を10倍多く間違って撒いたケースでも結局薬害は出ずに、カタビラが短期間で消滅した報告もある。

4)マックワンフロアブルの殺草作用の特性

マックワンフロアブルの有効成分である『クミルロン』は、尿素系除草剤の分類となり、植物の細胞分裂を阻害することにより対象作物の生育を阻止いたします。マックワンフロアブルは葉からの吸収はまったく無く、根からのみ吸収されます。
他の除草剤と比較して、有効成分の『クミルロン』は、大変水に溶けにくい性質を持っています。クミルロンは水に対して0.8ppmというきわめて低い水溶性のため、カタビラなどの発芽直後の幼根の生育は止められますが、生育が旺盛な健全なベントグラスなどの根には影響を与えません。
またこの水溶性の低さが残効の長さに影響を与えております。カタビラの発芽を抑える期間としては、春撒きで3か月、秋撒きで6か月の有効な残効を示します。またメヒシバへの散布のばあい数週間から1か月の残効があると考えております。
マックワンフロアブルは水溶性が低いので、通常の使用量での散布では散布水に対してほとんどの有効成分が水に溶けていない状態のまま土壌に処理層を作り、土壌中に0.8ppmの濃度の処理層を作ります。その後雨水や散水水が土壌に浸透すると溶けていなかった有効成分が新しい水に溶けて0.8ppmの処理水になります。
これが継続的に続くために残効期間が大変長くなるという特性を持つことができるのです。残効期間の長短に影響を与えるのは土壌中の微生物による分解の差になります。土壌微生物の活動は土壌温度に影響をうけますので、土壌が温かくなる春撒きは短く、秋撒きは長くなり、メヒシバ対策に撒く初夏のタイミングではより短くなる傾向になります。植物は基本的に「水に溶けている物質」のみ吸収することができ、また土壌微生物も水に溶けているものしか分解できません。

5)マックワンフロアブルの散布方法

マックワンフロアフロアブルは葉面からは一切吸収されません。土壌に処理層を作って効果を出す『土壌処理剤』です。土壌に処理層を作ることにより、処理層中で発芽するカタビラ、メヒシバなどの初期の幼根の生育を止める作用機作のため、散布する場合、有効成分を土壌に十分に落とすことが必要となります。
重要なポイントは水溶性が0.8ppmと低いため、ほとんどの有効成分が水に溶けておらず土壌に十分到達させるのが難しいので、それを考慮した散布方法が必要となります。後散水をしないと芝生の葉やサッチ層などに付着した有効成分が土壌に到達できないために十分な薬量で処理層を形成できません。その場合残効が短くなるなどの影響が出ます。
そのために、現在一般的な100~200cc/㎡の散布水量の場合は、散布直後の散布水が葉の上で乾く前に十分な後散水をすることを推奨しております。後散水は5~10分、水が浮かない程度に十分後散水をしてください。
また大型のタンク車で手振りで撒かれる場合は、㎡あたり1リットルの散水方法で撒けば後散水は必要ありません。多少の撒きムラがあっても薬害が出ることはありません。

6)使用方法

ベントグラスグリーン
     1)カタビラ(Poa annua)

ベントグラスグリーン内のカタビラは最も難防除雑草として世界中のゴルフ場、スポーツターフで問題となっております。カタビラ自体は植物界の中でも特別生命力の強い植物とは言えず、むしろ生命力は普通か弱いという印象の雑草ですが、これだけ世界にはびこっている一因は、きわめて短期間に発芽、生育し、出穂して種子をばら撒き、他の植物より短期間で世代を交代することが可能である点であると思われます。この短期間での世代交代が起こると言う特徴は新しい世代の株が、発芽した場所の環境に適応できるチャンスを増やすという優位性があるのです。そのために低刈りをされるグリーン内でも適応する株が徐々に比率を上げて個体数を増やすことが可能になるのです。しかもベントグラスと同じ寒地型芝になるので、生育サイクルが似ているためにはっきりと化学的に選択的な除草剤を作ることが難しいのです。それに加え、土壌中で眠っているたくさんのカタビラ種子は、土壌中で何十年も生きられて発芽のタイミングを待つことが出来るという特徴もあるため、茎葉処理剤で一気に枯らしたとしてもまた短期間で発芽・生育することとなり、短期間で駆逐することが大変難しい特性を持っています。また、カタビラの種子は土壌中で長期にわたって生存することができ、一説には20年以上もの年月を土壌中で生存して発芽の時期を待っているといわれる。そのため、『シードバンク』といわれる、土壌中での種子の蓄積が存在するために、地表面に出てきた生体を手抜きや茎葉処理剤で枯らしても、また下から発芽してくる繰り返しとなる。マックワンフロアブルは発芽前に土壌中で発芽を止めるために、確実に新規のカタビラを抑えることができる。
このような特性のため世界中の寒地型の芝地で「難防除雑草」として大問題を引き起こしております。この問題を解決するために『マックワンフロアブル』は大変有効な手段として2002年に日本の農薬登録を取得して芝生用に販売開始されてから、全国のベントグラスグリーンで大変活躍しており、その安全性と防除効果は20年以上経った現在でも高く評価されております。

マックワンフロアブルを使用してベントグラスグリーン内のカタビラを駆逐するためには、まずそこにあるカタビラが『一年草』のカタビラなのか『多年草』のカタビラなのかによって散布方法及びタイミングが変わりますので、それぞれ分けてご説明いたします。

       a)一年草カタビラ

自然界のカタビラはほとんど「一年草」のカタビラとなります。学者によって様々な意見がありますが、一般的にカタビラの亜種は20種類以上あると言われております。その中でも最も原始的で一般的なのは『一年草』のカタビラとなります。
一年草のカタビラの特徴は、葉の緑色が淡く、多年草のカタビラに比べて密度が低く荒い葉を持っています。一年草カタビラは出穂して種子を落とすと枯れてしまいます。ですので春に種を沢山つけて身を結実して種子が落ちれば枯れてしまいます。その後夏が暑い地域であれば越夏出来ずに消えてまた秋に発芽します。
このタイプのカタビラが多い場合は、かなり短期間にマックワンフロアブルでカタビラを駆逐することが可能です。カタビラが夏場に一度消えてしまうので、秋のカタビラが発芽する前に「マックワンフロアブル」を散布することによって下記の発芽をすべてとめてしまうので夏以降はカタビラが発芽しないので美しいベントグラスグリーンを維持することが可能です。冷涼なところでは8月下旬から9月上旬、温暖な地域でも9月中旬から10月上旬に散布することを推奨いたします。必ずカタビラが発芽するタイミングの前に散布することが必須です。秋散布の場合、通常6か月ほどの残効期間が期待できますので、翌年の3月ごろまでしっかりとカタビラの発芽を阻止ます。ですので、秋散布の6か月後に再度春撒きとしてのマックワン散布をすることが必要です。春散布の場合通常3か月程の残効が期待できますので、春撒きの後、初夏まで残効がありますので、この年二回の春と秋の散布で完全に年間、カタビラの発生を抑えることが実現いたします。

       b)多年草カタビラ

多年草カタビラの場合、一年草カタビラとは少し違う観点から散布のタイミングを検討する必要があります。多年草のカタビラは、越夏して、年間を通じて芝地内に生存します。
マックワンは、カタビラが土壌中で発芽して最初の根を出した段階で土壌中から吸収されて根の生育を止め、土壌中でカタビラの発芽を阻止することができますが、既に親株となっている既発生のカタビラの株に散布しても、そのカタビラを直接枯らす力はありません。カタビラには直根の『太い根』とその周りに網目状に広がる『毛根』がありますが、マックワンはその『毛根』の生育を抑えて効果があります。残効の長いマックワンは、数か月にわたり既発生のカタビラの毛根を失わせます。もちろん毛根が無くなっただけではすぐにカタビラが枯死するわけではありませんが、土壌中の水分や養分を吸収する力が極端に弱くなるために時間とともにカタビラは弱っていきます。その段階で夏の暑さや乾燥、冬の寒さや凍結などの外的ストレスがかかることにより多年草化したカタビラも徐々に小さくなり個体数を減らしていきます。カタビラは徐々に勢力を弱めて小さくなり、外的要因等が重なることによって消滅していきますが、ベントグラスには全く影響が出ないため、カタビラが勢力を弱めたところにベントグラスが侵入していくので、パッティンググリーンとしてクオリティーを失うことなく知らないうちにカタビラが消えていくこととなります。他社剤の茎葉処理効果のある除草剤では一気にカタビラのコロニーが無くなって裸地化することがありますが、マックワンにはその問題はありません。

    2)メヒシバ

ベントグラスグリーン内のメヒシバの防除も『マックワンフロアブル』で可能です。メヒシバはイネ科の一年草の「夏」雑草で、低刈りにも耐えることができます。葉がベントグラスより荒く色が淡いので見た目がよくありません。また秋には枯れてしまうので緑のベントグリーン内に枯れた葉が混じるので、同じく見た目が大変悪くなります。メヒシバにはいくつかの亜種(オヒシバ、秋メヒシバなど)がありますが、カタビラと違い夏に生育する雑草であるために、マックワンフロアブルの散布タイミングは、春から夏にかけてとなります。メヒシバ対策としてマックワンフロアブルを使用する場合は、関東地区平野部で4月下旬から5月上旬に散布。状況によっては1か月後に追加の散布が必要になるかもしれません。カタビラ同様にマックワンフロアブルは土壌中でメヒシバの初期の根の生育を阻害して発芽直後に土壌中で故殺します。発芽初期の3葉程度の株に散布した場合はそれ以上の生育を阻止して枯死に至らせます。すでに親株となっているメヒシバには即効的に枯らすことはできませんが、根の生育を阻害するために、メヒシバの広がりを止めることはできます。発芽前処理剤としての残効は一般的に3から4週間程度となります。メヒシバの種子はカタビラと違って、土壌中で長期間生存することはできないので、数年防除をしっかりとおこなえばその後はあまり出てこなくなるでしょう。ただしグリーン近傍にたくさんメシヒシバが生存していれば種が入ってくることは考えられます。

ライグラスのオーバーシードでの使用

バーミューダグラスなどの暖地型芝生のターフを利用しているゴルフ場のフェアウェーや、サッカー、野球などのグラウンドでは、冬場のバミューダグラスが休眠して枯れている時に、ペレニアルライグラスなどを秋にオーバーシードして冬場はペレニアルライグラスのターフを使用することがあります。この事を『ウィンターオーバーシーディング』(以下、WOSと表示)と言います。時折、このWOSをしていると徐々にカタビラの混入が増えていくケースがあります。自然にカタビラが侵入する場合もありますが、少なからずオーバーシードしているペレニアルライグラス種子にカタビラの種子が混入してしまうことがあります。この場合バミューダグラスやペレニアルライグラスに選択的に安全な除草剤がないため、カタビラの個体数を抑えることができなくなります。マックワンフロアブルは寒地型、暖地型を問わず既存のターフにはまったく悪影響を出さずにカタビラやメヒシバの種子からの発芽は阻止できます。しかしながらクリーピングベントやケンタッキーブルーグラスの種子からの発芽は抑制してしまいます。しかしながら、マックワンフロアブルは、ペレニアルライグラス種子の発芽だけは阻止しないので、WOSで秋にペレニアルライグラス種子の播種と同時にマックワンフロアブルを散布することにより、土壌中、あるいはペレニアルライグラスの種子中に入っている「カタビラ」の種子の発芽だけを阻止して、ペレニアルライグラスは健全に発芽することができ、カタビラのない純粋なペレニアルライグラスのターフを形成させることが出できるのです。このような使い方のできる除草剤は本マックワンフロアブルだけです。

グリーン以外での使用方法(アプローチ、ティー、競技場など)

マックワンフロアブルはきわめて安全性が高い除草剤として、最も安全性が要求される「ベントグラスグリーン」に使用されることが多いですが、グリーン以外のアプローチ、ティーグラウンド、またゴルフ場以外の競技場や公園などでも使用可能であり、実際数多く使用されております。日本芝に安全な除草剤はたくさんありますが、ベントグラスグリーンの近傍で使用するとドリフトなどでベントグリーンに悪影響を及ぼす場合などより安全性が求められるエリアにおいて数多く使用されております。また前出のウィンターオーバーシーディングをしている競技場、ティー、アプローチ、フェアウェーでの使用も推奨いたします。
注意点としては、グリーンよりも刈高が高いことが予想されるため、有効成分を十分に土壌に落とすために、より散布水量を多くするか、より後散水の時間をとることをお勧めいたします。

7)薬害について

マックワンフロアブルは既存のターフにはきわめて安全性の高い除草剤です。3)参照。これはマックワンフロアブルの有効成分である『クミルロン』が化学的にきわめて水溶性が低い(0.8ppm)ことが理由となります。0.8ppmとは1000Lの水に対して0.8ccのクミルロンしか水に溶けていないことを示しています。これは化学的な特性であるため間違って何倍もの薬量を散布してしまっても、土壌中の水に対しては、濃度を0.8ppm以上には上げられないことになります。0.8ppmの濃度のクミルロンは、カタビラや発芽初期の毛根のような根の成長は阻害できても、既存のターフとなっているクリーピングベントグラスの丈夫な根にはほとんど影響を与えることができないのです。ただし注意していただきたいことは、ベントグラスも生育が悪くなった状態では0.8ppmの濃度のクミルロンの影響も出ることがあります。その場合でも枯らすまでには至らなく、やや成長が緩慢になることがあります。基準としては、「ベントグラスの根が3cmより浅い状態の時には散布を控え」、施肥などを行って根が5cm程度になってから散布することを推奨いたします。またスペクトラム社のTCM500葉色度計のGI値が5.00以下の場合は同じく散布を控えることを推奨いたします。逆に真夏などの過酷な状況下でも、GI値が6.00以上の場合はいつ散布しても大丈夫です。

8)他の薬剤との混用・併用について

マックワンフロアブルを使用する場合、他のあらゆる除草剤、殺藻剤、成長抑制剤など、少なからずベントグラスの成長に負の影響が予想されるものは、混用・併用をおやめください。
マックワンフロアブルは、単剤ではまったく健全なベントグラスには影響を与えませんが、他の薬剤によって相乗的に悪影響を出す可能性があります。最低でもマックワン散布タイミングの前後1か月は他の薬剤の使用はおやめください。

9)マックワン使用時の播種について

マックワンフロアブルはあらゆる既存の芝生に安全ですが、マックワンが処理されている状態の土壌では『ペレニアルライグラス』を除いて、クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラスなどの播種をしてもその種の発芽はカタビラやメヒシバ同様発芽を阻止してしまいます。ですのでマックワンを処理している時には、ベントグリーンの「インターオーバーシーディング」などの種処理はできません。一部の経験知で、一か月前後間を空ければ大丈夫とも言われますが、基本的にはお勧めできません。春には種を蒔いて秋はマックワンを処理する、あるいは逆に春はマックワンを処理して秋に種を蒔くという方法は可能です。使用される地域によっても複数の方法が考えられますのでお悩みの場合はぜひご相談ください。